【菊池運輸株式会社】
会社を永続させるために、できること

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菊池運輸株式会社 代表取締役社長
菊池 正(きくち・ただし)
1975年、長野県生まれ。法政大学経営学部在学中から勉学と家業を両立し、様々な経験を積む。1998年の大学卒業時に入社し、本格的に仕事を開始。2009年に社長へ就任する。教育の原点は現場にあるという考えから、入社当初から現在に至るまで飛び込み営業を続け、延べ1万社以上に訪問したのだという。社長として人を育てることに注力し、次の世代を担う優秀な人材を生み出している。

日本各地に荷物を届ける物流サービスを展開し、 順調に成長を重ねている菊池運輸株式会社。 「企業の根本の目的は永続させること」と語る菊池社長に、 多くのお客様から信頼されている理由、 そして教育のため社員へ伝えているという ご自身の"発想の原点"について伺いました。

全国1,500社以上の協力会社様と手をつないで
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 私たちはお客様の荷物を目的地へお届けする運輸業を営んでいます。北は北海道、南は九州まで、ありがたいことに1,000社以上のお客様からご依頼をいただいていますね。

 評価していただいている大きな理由は、品質と小回りの良さ。例えば10台分の空車両があるときに、11台分のご依頼をいただいたとします。一般的には「調整してから、再度ご連絡いたします」となると思うのですが、私たちはお待たせせずにご依頼を受けてしまいます。これは向こう見ずというのではなく、"受けられる根拠があるから"なんです。

 その根拠というのが、1,500社以上のパートナー企業様とのネットワーク。全国各地にパートナー企業様の車がありますから、どのようなご依頼でも受けられるのです。会社の与信はもちろん、ドライバーさんのスキルも含めて信頼できるパートナー企業様のみとお付き合いしていますから、サービス品質も高い。

 車を見つけるだけなら、荷物や目的地の情報を入力すると空車を検索してくれる"ネット空車システム"を利用すればいい。しかし、どんな業者さんがいるのか分からないから、品質を担保できない怖さがあります。一方、私たちのネットワークには信頼できるパートナー企業様しかいませんから、品質への不安はありえないのです。

大手にも負けない品質
 業界の主流は、お客様の物流システムをある1社が請け負う3PL(third-party logistics)というもの。効率的に目標を達成できるようシステムが設計されており、低コストなのが特長なのですが......。実際は三次請け、四次請けは当たり前で、激しい価格競争の世界。コストを優先するあまり、品質が追いついていないことも多いのです。

 「これは果たして本当にお客様のためになっているのだろうか」と考えたことが、今の私たちの出発点かもしれません。どうすれば品質を保ちつつも対応力を上げていけるのか。これを突き詰めていった結果が、今のネットワークなのです。たとえ大手さんが相手でも、品質では負けないという絶対の自信があります。

会社を永続させるための教育
kikuchisama_3.jpg 私は、会社の根本の目的は「永続」だととらえています。では、永続するために何をしなければいけないか。何を置いても教育が第一だと思います。会社を守っていける人材が育ってさえいれば、どのような逆境にあっても会社がなくなることはありませんから。

 教育の原点は現場にあると考えていて。月の半分から三分の二は出張に行っているのですが、一人で行くことはほとんどありません。20代の若手社員を連れて行って、徹底的なOJTを行います。たとえばお客先様からの帰り道では「なぜああ言ったか分かる?」「こう言われたらこう返したほうがいいよ」と、考え方や具体的な行動を伝えていくんです。
 
 若手と一緒に飛び込み営業もやりますが、これも大変勉強になります。たとえば受付の方との会話ひとつとっても応対について学べますし、先方の企業の考え方にも触れられる。数を重ねれば、その業界の雰囲気や特徴的な考え方なんかも分かってくる。そうして他社や他業界のことが分かってくるようになると、相対的に自社や運輸業界への理解も深まっていく。すると、より他社のことが分かるようになる。この"深化"していく感覚って、本当に楽しいんですよ。私は今も飛び込み営業を続けていて、訪問社数は1万社を越えています(笑)。

kikuchisama_4.jpg もちろん、ドライバーに対する教育にも力を入れており、様々な取り組みを行っています。1年に2回、各営業所で実施する安全大会もその一つです。ドライブレコーダーを全員で見ながら、どこに危険が潜んでいたのか、どこがリスクになっていたのかを考えていきます。

 大筋の内容は全国で共通していますが、細部はそれぞれの営業所が考える。こうすることで、全員参加型の教育が実施できるんです。そういった意図を込めて、「講習会」ではなく「大会」という名前にしています。

"1回"の事故を防ぐために
 私たちの仕事は100点の人間が何人いたとしても、0点の人間が1人でもいたらだめなんです。たとえ1,000回に1回の事故だったとしても、お客様からしたら起きた"1回"の事故がすべてですから。

 だから、もしも事故が起きた場合は対策を全員で考えていきます。「個人のミス」で処理しちゃいけないんです。みんなが自分事としてとらえ、どうすれば再発が防げるのかを考えていく。そうしなければ、会社としてのサービス品質は高まりません。

発想の原点とも言える、3つの言葉
kikuchisama_5.jpg 社長としての私の一番の仕事は、語ること。理念を語り、方向性を語り、想いを語る。菊池運輸の社員として持つべき考え方、あるべき姿を1人ひとりに浸透させられるよう、日々語っていますね(笑)。

 自分自身はもちろん、社員にも言い聞かせている言葉があるんです。それは「シンプルに考える」「おもしろいね、やってみよう」「もっと良くなろう」の3つ。この言葉は私の考え方や行動の源になっていると言えるかもしれません。
 
 まずは、シンプルに考えるということ。「目的を達成するためにはどうすればいいのか」と肩の力を抜いて考えると、どんな問題でも道筋が見えてくるんです。たとえば目的が富士山に登ることだったら、そのために何をすべきか、ということだけに焦点を絞って考えればいい。どんな荷物を用意すればいいのか、誰と行くのがいいのか、いつ行けばいいのか、静岡側から昇るのか、山梨側から昇るのかといったことは、すべてディティールの問題なのです。極端な話、ヘリコプターを使ったっていいんですから(笑)。

 次は、面白いそうだからやってみようと、自発的なモチベーションを持つこと。もちろん、仕事は決して楽しいことだけではありません。けれども、そこに面白さを見いだせるかどうかが、質の良い仕事をし続けるうえでは重要なのです。

 そして、もっと良くなろうと向上心を持ち続けること。つねに理想に向かって邁進すること。言葉にすると簡単に思えますが、実際は本当に大変ですよ。向上するということは、現状を否定するということ。つまり、つねに自己否定をし続けることでもあるんです。だから、私は仕事で達成感とか満足感を覚えたことってないんです。満足するよりも「どうすればより良くできるか」と考えてしまうんですね。

バトンを次の世代に託すために
 どの産業でもそうだと思いますが、運輸業界も人手不足で悩んでいます。だからこそ、入りたいと思ってもらえる会社を作ることが重要なんです。それに、会社で働いている時間って凄く長いじゃないですか。睡眠時間を除いたら、人生の半分を預かっていると言ってもいいくらい。だから気持ち良く安心して働けるというのはもちろん、ビジネスパーソンとしても人としても成長できるよう、これからも環境づくりに取り組んでいきます。

 会社づくりは人づくり。人が育てば、会社は世代を超えて存続していける。バトンを託し続けられるように...。そのためにできることを、ただひたすらにやっていくだけです。

企業情報

企業名 菊池運輸株式会社
本社所在地 〒121-0831
東京都足立区舎人5-25-6
代表取締役社長 菊池 正(きくち・ただし)
創業 1957年(昭和32年)
事業内容 一般貨物自動車運送事業
貨物運送取扱業
倉庫業
産業廃棄物の収集・運搬業等
Webサイト http://www.kikuchi-exp.co.jp